副業の確定申告のやり方完全ガイド|必要な人・手順を総まとめ

会社員が自宅の机で副業の売上と経費を整理しe-Taxで確定申告の準備をしている様子 未分類

会社員の副業で「20万円」が問題になるのは、一定の給与所得者が所得税の確定申告を省略できるかどうかです。20万円以下なら非課税になる制度ではなく、副業が給与か業務委託か、年末調整の状況、住民税などを分けて確認する必要があります。

副業の確定申告で迷わないためには、20万円という数字だけで判断せず、「所得区分→申告義務→収入と経費→必要書類→e-Tax→納税」の順に整理することが近道です。

  1. 副業の確定申告は20万円から?まず確認したい「20万円ルール」の条件
    1. 業務委託の副業は「売上20万円」ではなく所得を見る
    2. 副業が「給与」の場合は同じ20万円でも考え方が違う
    3. 医療費控除などで確定申告するなら20万円以下の所得も申告する
    4. 20万円以下でも住民税は別に確認する
  2. 動画編集などの副業は雑所得?事業所得?所得区分の決め方
    1. 給与所得になる副業
    2. 事業所得と雑所得の「300万円」は境界線ではない
    3. 雑所得の赤字は給与所得と相殺できない
  3. 副業の確定申告のやり方は?必要書類からe-Taxまで6ステップ
    1. STEP1:1月1日から12月31日までの収入を集める
    2. STEP2:副業に必要だった経費を整理する
    3. STEP3:源泉徴収されている報酬を確認する
    4. STEP4:必要書類と控除資料をそろえる
    5. STEP5:確定申告書等作成コーナーで入力する
    6. STEP6:提出後、納税が必要なら期限までに納める
  4. 青色申告は副業でも使える?65万円控除だけで判断しない
    1. 青色申告特別控除は10万円・55万円・65万円
    2. 青色申告を「節税ワザ」とだけ考えると遠回りになる
  5. 副業の住民税で会社に分かる?普通徴収だけを頼りにしない
    1. 就業規則は税金より先に確認する
  6. 考察|会社員の副業確定申告で本当に見るべき「4つの境界線」
    1. 忙しい会社員ほど「確定申告」より前に記録の仕組みを作る
    2. 税務記録は「確定申告のため」だけではない
    3. 2026年時点でも、数字の丸暗記より「公式情報を確認する習慣」が残る
  7. まとめ|副業の確定申告は20万円だけでなく所得区分から確認する
  8. よくある質問
    1. 会社員の副業は20万円以下なら確定申告しなくていいですか?
    2. 本業のほかにアルバイトと業務委託の副業があります。20万円は別々に判定しますか?
    3. 動画編集の副業は雑所得と事業所得のどちらですか?

副業の確定申告は20万円から?まず確認したい「20万円ルール」の条件

結論からいうと、よく知られる「副業20万円ルール」は、すべての会社員に一律で適用される単純な基準ではありません。

国税庁は、給与等の収入金額が2,000万円以下で、1か所から給与を受け、その給与について源泉徴収や年末調整が行われている給与所得者について、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら、原則として所得税の確定申告を要しないケースを示しています。

ここが、最初に押さえたい重要ポイントです。

「会社員だから副業20万円以下なら申告不要」と覚えてしまうと、前提条件を見落とします。

代表的なケースを整理すると、次のようになります。

副業などの状況所得税の確定申告で確認するポイント
1社から給与を受け、年末調整済み。業務委託など給与以外の所得がある給与収入2,000万円以下などの条件を満たしたうえで、給与・退職所得以外の所得合計が20万円を超えるか確認
給与・退職所得以外の所得が20万円以下条件を満たせば所得税の確定申告を省略できる場合がある。ただし住民税は別途確認
本業以外にもアルバイト給与がある年末調整されなかった給与と、給与・退職所得以外の所得を含めて申告要否を確認
医療費控除などのため確定申告をする20万円以下の副業所得も含めて申告
副業を複数している対象となる所得を合計して判断
給与収入が2,000万円を超えるそもそも20万円だけを基準に申告不要とは判断できない

20万円は「税金がかかり始める金額」ではありません。

ここを取り違えることが、副業の確定申告で最も起こりやすい誤解の一つだと私は考えています。

業務委託の副業は「売上20万円」ではなく所得を見る

動画編集、ライティング、デザインなどを個人で受注し、その収入が雑所得または事業所得に該当する場合、基本になるのは売上そのものではなく所得です。

考え方はシンプルです。

所得=収入-必要経費

たとえば、年間の売上が30万円あり、その売上を得るための必要経費が12万円だったとします。

30万円-12万円=18万円

この場合、売上は20万円を超えていますが、所得は18万円です。

反対に、売上が25万円で必要経費がほとんどなければ、所得も20万円を超える可能性があります。

つまり、銀行口座への入金合計だけを見て「20万円を超えた」「超えていない」と判断するのは適切ではありません。

副業が「給与」の場合は同じ20万円でも考え方が違う

もう一つ注意したいのが、本業とは別の会社でアルバイトやパートをして給与を受け取るケースです。

業務委託の報酬と、雇用契約に基づいて勤務先から受け取る給与は、同じ副業収入でも税務上の扱いが異なります。

たとえば、本業の会社で年末調整を受けながら、別の会社から年末調整されていない給与を受け取っている場合は、その給与についても確定申告の条件を確認する必要があります。

さらに、

  • 別の勤務先から給与を受け取っている
  • 動画編集の業務委託報酬もある
  • フリマや制作物販売など別の所得もある

というように複数の収入源がある人は、「副業Aは20万円以下だから除外、副業Bも20万円以下だから除外」と仕事ごとに判定しないことが大切です。

国税庁が示す給与所得者の申告要否では、年末調整されなかった給与や、給与・退職所得以外の所得との関係を含めて判定します。

私は、40代の会社員ほど「副業はいくら稼いだか」より先に、誰から、どの契約で、何という所得としてお金を受け取ったかを書き出すのがよいと思っています。

同じ10万円でも、アルバイト給与と業務委託報酬では確認する場所が違うからです。

医療費控除などで確定申告するなら20万円以下の所得も申告する

20万円以下の副業所得について特に注意したいのが、医療費控除などを受けるために自分から確定申告をするケースです。

国税庁によると、20万円以下で本来は確定申告を要しない副業所得であっても、医療費控除などを目的として確定申告をする場合には、その所得を含めて申告する必要があります。

つまり、

「20万円以下だから、この副業だけ申告書から外す」

という考え方ではありません。

副業所得を加えれば税額も再計算されるため、医療費控除を使ったからといって必ず還付になるとも限りません。

控除だけを見るのではなく、申告する所得全体を見て判断する必要があります。

20万円以下でも住民税は別に確認する

所得税の確定申告をしなくてよいケースでも、住民税まで自動的に申告不要になるとは限りません。

所得税と個人住民税は別の制度です。

このため、副業所得が20万円以下で所得税の確定申告を省略する場合は、住んでいる市区町村で住民税申告の要否を確認してください。

自治体によって申告方法や案内が異なるため、ここは全国共通の「20万円ルール」だけでは判断しないほうが確実です。

「確定申告不要=税金の手続きが全部終わり」ではない。

忙しい会社員がまず覚えておくなら、この一文のほうが20万円という数字そのものより役立つと私は思います。


動画編集などの副業は雑所得?事業所得?所得区分の決め方

結論からいうと、動画編集だから雑所得、継続しているから事業所得、と職種名や一つの数字だけで機械的に決めることはできません。

国税庁の所得税基本通達では、事業所得か業務に係る雑所得かは、その活動が社会通念上「事業」といえる程度で行われているかを基本に判断します。

給与所得になる副業

会社や店舗などと雇用契約を結び、働いた対価として給与や賞与を受け取るなら、基本的には給与所得です。

たとえば動画編集でも、

「映像制作会社でアルバイトとして勤務し、毎月給与を受ける」

場合と、

「個人で企業から編集案件を受注し、納品後に報酬を請求する」

場合では、同じパソコンで同じ編集ソフトを使っていても所得区分が同じとは限りません。

仕事内容の名前より、契約関係と収入の実態を見る。

ここを先に整理すると、確定申告の後半で迷いにくくなります。

事業所得と雑所得の「300万円」は境界線ではない

副業の記事では、ときどき「300万円以下なら雑所得」「300万円を超えたら事業所得」と読める説明を見かけます。

しかし、これは正確な理解ではありません。

国税庁の通達では、事業所得かどうかは社会通念で判断することが原則です。そのうえで、帳簿書類を記録・保存している場合には一般的に事業所得に区分される場合が多いとされる一方、収入が僅少であったり営利性が認められなかったりする場合などは個別判断となります。

一方、帳簿書類の保存がない場合には、収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合などを除いて、業務に係る雑所得に該当することに留意するとされています。

つまり300万円という数字は、「300万円を境に所得区分が自動で切り替わる線」ではありません。

ここは副業会社員にとって特に誤解しやすいところです。

私は、青色申告の65万円控除を使いたいから先に「事業所得にしよう」と考える順番は避けたほうがよいと思っています。

まず働き方の実態がある。

その実態をもとに所得区分を判断し、その結果として使える制度を確認する。

この順番のほうが無理がありません。

雑所得の赤字は給与所得と相殺できない

もう一つ、実務で見落とされやすいのが赤字です。

業務に係る雑所得では、収入から必要経費を差し引いた結果、マイナスになることがあります。

しかし国税庁は、雑所得の計算で生じた損失は、ほかの所得と損益通算できないとしています。

たとえば動画編集の副業を始めるために機材やソフトへ支出し、雑所得の計算上は赤字になったとしても、その赤字をそのまま本業の給与所得と相殺して給与分の所得税を減らせるわけではありません。

副業を始めた年は機材投資が大きくなりやすいため、この違いは知っておきたいところです。

※画像はAIによるイメージ

副業の確定申告のやり方は?必要書類からe-Taxまで6ステップ

結論として、副業の確定申告は申告画面をいきなり開くより、収入→経費→所得区分→源泉徴収→控除→申告の順に数字を整えてから入力するほうがスムーズです。

ここでは会社員が業務委託などの副業をしている場合を中心に、実務の流れを6ステップで整理します。

STEP1:1月1日から12月31日までの収入を集める

まず、その年の副業収入を確認します。

アルバイトなど給与で受け取っているなら源泉徴収票、業務委託なら請求書、売上台帳、銀行口座への入金記録などを確認します。

支払調書が発行される仕事もありますが、支払調書が届かなければ収入を申告しなくてよい、という意味ではありません。

自分の請求記録と入金記録から、年間の収入を把握することが基本です。

会社員の副業でよくある失敗は、銀行口座の入金額だけを足して終わることです。

入金時に源泉所得税が差し引かれている報酬では、振込額と本来の報酬額が一致しないことがあります。

STEP2:副業に必要だった経費を整理する

雑所得や事業所得では、収入を得るために必要となった費用を必要経費として差し引きます。

動画編集の副業なら、仕事との関係によって次のような支出が経費になり得ます。

  • 動画編集ソフトなど業務用サービスの利用料
  • パソコン、モニター、ストレージなど業務用機材
  • 素材やクラウドストレージの利用料
  • 業務に利用した通信費
  • 打ち合わせや納品などに必要な交通費
  • 仕事のために外注した費用

ただし、自宅のインターネット回線やパソコンを私生活でも使うなら、何でも全額を経費にできるわけではありません。

仕事で使った割合など、合理的な基準で家事用と業務用を分ける「家事按分」を考える必要があります。

また、高額な機材は購入年に全額をそのまま必要経費にするのではなく、減価償却など別の処理が必要になる場合があります。

私は経費を考えるとき、「税金を減らせるか」より「第三者に仕事との関係を説明できるか」を基準にするほうが分かりやすいと思っています。

節税のために不要な物を買えば、税金が減ってもそれ以上に現金が減ることがあります。

STEP3:源泉徴収されている報酬を確認する

副業報酬の中には、支払者が所得税等を源泉徴収してから振り込むものがあります。

その場合、確定申告では「手取りとして振り込まれた金額だけ」を収入として処理するのではなく、報酬額と源泉徴収された税額を確認します。

確定申告では、年間の所得から本来納める税額を計算し、すでに源泉徴収された所得税があれば、その分を差し引いて最終的な納税額や還付額を計算します。

ここを見落とすと、すでに納めた税額を正しく反映できない可能性があります。

支払調書がある場合は確認しつつ、請求書や入金記録も合わせて年間数字を整理しておくと安心です。

STEP4:必要書類と控除資料をそろえる

会社員が副業の確定申告をするなら、一般的には次のような資料を用意します。

  • 本業や副業給与の源泉徴収票
  • 業務委託などの売上・報酬が分かる記録
  • 源泉徴収された報酬が分かる資料
  • 領収書、請求書、利用明細など経費を確認できる書類
  • 医療費控除など利用する所得控除の資料
  • マイナンバーカードなど本人確認に必要なもの
  • 還付金を受け取る口座情報
  • 事業所得なら帳簿や青色申告決算書など必要な書類

事業所得については、青色申告だけでなく白色申告の場合にも記帳や帳簿・書類の保存義務があります。国税庁は保存対象や保存期間についても案内しています。

年明けに一から集めると時間がかかるため、普段から保存場所を決めておくことが大切です。

STEP5:確定申告書等作成コーナーで入力する

会社員の副業で取引件数がそれほど多くない場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使って作成する方法があります。

実際の画面は申告する年分によって変わることがありますが、考え方としては次の順で準備すると迷いにくくなります。

1. 本業などの給与情報を源泉徴収票から入力する
2. 副業の所得区分を選ぶ
3. 副業の収入と必要経費を入力する
4. 源泉徴収されている税額があれば反映する
5. 社会保険料や生命保険料、医療費など該当する控除を入力する
6. 住民税に関する項目などを確認する
7. 計算された税額・還付額を確認する
8. e-Taxまたは書面で提出する

マイナポータル連携が利用できる項目については、対応する控除証明書などのデータを取得して入力を省ける場合もあります。

紙の確定申告書の「何番の欄に書くか」を暗記するより、自分の収入が何所得なのか、源泉徴収されているのか、必要経費はいくらかを正しく整理しておくほうが重要です。

申告書の様式や画面構成は変わることがあるため、実際の申告では対象年分の国税庁の案内を確認してください。

STEP6:提出後、納税が必要なら期限までに納める

確定申告は「申告書を送信したら終わり」とは限りません。

計算結果が納税になった場合は、期限までに納付手続きも必要です。

国税には、振替納税、インターネットバンキング等を利用する方法、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付、金融機関や税務署窓口での納付など複数の方法があります。

クレジットカード納付では決済手数料がかかります。

また、スマホアプリ納付やコンビニ納付には納付額などの条件があるため、実際に使う年の案内を確認してください。

忙しい会社員にとって意外な落とし穴は、「e-Taxで申告した=銀行口座から自動で税金も払われる」と思い込むことです。

申告と納付は分けて考えましょう。

※画像はAIによるイメージ

青色申告は副業でも使える?65万円控除だけで判断しない

結論として、青色申告は「副業をしている人なら誰でも選べる制度」ではありません。

青色申告が関係する代表的な所得には事業所得、不動産所得、山林所得があります。

動画編集などの副業が業務に係る雑所得として扱われるなら、「青色申告を選んで65万円控除」という考え方にはなりません。

青色申告特別控除は10万円・55万円・65万円

国税庁によると、令和8年分までの青色申告特別控除には、要件に応じて55万円、65万円、10万円の控除があります。

55万円控除では、事業所得または一定の不動産所得があること、正規の簿記の原則による記帳、貸借対照表・損益計算書などの提出、期限内申告などが要件になります。

65万円控除は55万円控除の要件に加えて、一定の電子帳簿保存を行うか、確定申告書や貸借対照表、損益計算書などを期限までにe-Taxで送信するなどの要件があります。

55万円・65万円の要件に該当しない青色申告者には、10万円控除が適用される場合があります。

なお、国税庁は令和9年分確定申告から青色申告特別控除に制度変更がある案内も掲載しています。

そのため、2026年時点の記事を数年後に読んでいる方は、申告対象年の最新制度を必ず確認してください。

青色申告を「節税ワザ」とだけ考えると遠回りになる

ここは私見ですが、会社員の副業では「65万円控除」という数字だけを見て事業所得に寄せようとするのはおすすめしません。

所得区分は、自分が有利な制度を選ぶために自由に付け替えるものではないからです。

先に、

  • どの程度継続して活動しているか
  • 営利性があるか
  • 仕事として独立した実態があるか
  • 取引を帳簿に記録しているか
  • 帳簿書類を保存しているか

といった活動の実態があります。

そのうえで所得区分を判断します。

国税庁も、事業所得と業務に係る雑所得について社会通念による判断を原則とし、帳簿保存の有無などを含めた考え方を示しています。

私は青色申告を、単なる「税金を安くする仕組み」ではなく、事業として数字を管理する制度と考えるほうが会社員には分かりやすいと思っています。

記帳、書類保存、期限管理まで含めて続けられるかを見ることが大切です。


副業の住民税で会社に分かる?普通徴収だけを頼りにしない

結論として、住民税の納付方法だけで「勤務先に副業が知られない」と保証することはできません。

給与・公的年金等以外の所得に対する住民税については、確定申告時に自分で納付する方法を希望できるケースがあります。

ただし、具体的な取り扱いは所得の種類や自治体の処理によって異なります。

特に、本業以外の勤務先から受け取る給与所得については、業務委託による雑所得・事業所得と同じように考えないほうがよいでしょう。

普通徴収を選べば必ず会社に知られない、という説明は避けるべきです。

就業規則は税金より先に確認する

会社員の副業では、税務だけでなく勤務先のルールも重要です。

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しており、副業・兼業を認める方向を基本としつつ、労務提供上の支障、秘密保持、競業、企業の名誉や信用などとの関係について考え方を示しています。

勤務先によっては、副業をする際に届出や許可が必要なこともあります。

私は40代の会社員にとって、ここは税金のテクニックより大切だと考えています。

数万円の副業収入を守ろうとして、本業との関係や働き方を不安定にしてしまえば、生活全体では割に合わないことがあります。

「会社にどう隠すか」ではなく、「勤務先のルール上どう扱われているか」を先に確認する。

長く続ける副業ほど、この順番が重要です。


考察|会社員の副業確定申告で本当に見るべき「4つの境界線」

ここからは、国税庁などが示す制度を踏まえた私見です。

副業の確定申告というと「20万円を超えたか」に意識が集中しますが、実務では4つの境界線を区別するほうが重要だと考えています。

1つ目は、収入と所得の境界です。

銀行口座へ入った金額と、税額計算で使う所得は同じとは限りません。

業務委託の副業では必要経費を整理し、源泉徴収されているなら報酬額と源泉徴収税額も分けて確認します。

2つ目は、給与と業務委託の境界です。

同じ「副業で20万円」でも、別の会社から給与として受け取ったのか、個人で案件を請けて報酬として受け取ったのかで扱いが異なります。

「副業」という日常語をそのまま税務上の分類だと思わないことが重要です。

3つ目は、所得税と住民税の境界です。

所得税の確定申告を省略できる制度があることと、住民税について手続きが不要であることは同義ではありません。

20万円以下なら何もしなくてよい、という誤解は、ここを一緒にしてしまうことで生まれます。

4つ目は、雑所得と事業所得の境界です。

300万円という数字だけでも、帳簿を付けているという一点だけでも決まりません。

私は、この4つを紙やメモに書いて整理できれば、税務用語を全部暗記しなくても「次に何を確認すべきか」はかなり見えやすくなると思っています。

忙しい会社員ほど「確定申告」より前に記録の仕組みを作る

会社員として本業を持ちながら副業を続ける立場で考えると、確定申告で最も減らしたいのは、2月や3月になってから1年分の記憶を掘り返す作業です。

「これは仕事用だったか」

「この振込は何月の案件だったか」

「このソフト代はいくらだったか」

こうした確認を一度に始めると、税額計算より証拠探しに時間を取られます。

そこで、会社員の副業なら次の程度の仕組みから始めるのが現実的です。

  • 副業の入金先をできるだけ集約する
  • 副業の支払いに使うカードや口座を分ける
  • 請求書・領収書・利用明細の保存先を決める
  • 源泉徴収された報酬は税額も一緒に記録する
  • 月1回だけ売上と経費を確認する

月1回という頻度は税法上のルールではなく、私が忙しい会社員に現実的だと考える管理方法です。

毎日完璧に記帳しようとして3週間で止まるより、無理なく続く仕組みを作る。

年末に12か月分を一気に整理するより、月ごとに小さく締める。

副業は、派手な方法よりこうした地味な仕組みのほうが長く効きます。

税務記録は「確定申告のため」だけではない

売上と経費を毎月記録すると、税金とは別のものも見えてきます。

それは、自分の副業が本当に時間に見合っているかです。

たとえば売上が前年より増えていても、

ソフト代が増えた。

機材費が増えた。

外注費が増えた。

作業時間も増えた。

という状態なら、手元に残る金額や時間あたりの効率は改善していない可能性があります。

税務のためにつけた記録は、そのまま副業の採算表にもなります。

私はここが、忙しい会社員にとって大きな意味を持つと思っています。

確定申告を「年に一度やってくる面倒なイベント」にするのではなく、自分の働き方が割に合っているかを確認する年次点検として使う。

この見方に変えると、帳簿を付ける意味も少し変わってきます。

2026年時点でも、数字の丸暗記より「公式情報を確認する習慣」が残る

税制、申告書の様式、電子申告の仕組みは変わります。

実際、国税庁は令和8年分までの青色申告特別控除に加え、令和9年分確定申告からの変更についても案内を始めています。

だから私は、

「20万円」

「65万円」

「3月15日」

という数字だけを覚えるよりも、申告する年になったら国税庁と自治体の最新情報を見るという行動を習慣にしたほうがよいと考えています。

税金の記事には、書かれた時点では正しかった情報でも、数年後には条件が変わっているものがあります。

特に確定申告期間、控除要件、申告書画面、納付方法、税制改正については、その年分の情報を確認してください。


まとめ|副業の確定申告は20万円だけでなく所得区分から確認する

会社員の副業でよく言われる20万円ルールは、誰にでも無条件で適用される非課税ラインではありません。

給与収入2,000万円以下、主な勤務先で年末調整を受けているなど、制度の前提を確認したうえで、給与・退職所得以外の所得や、年末調整されていない給与などを見て申告要否を判断します。

業務委託の副業なら、売上だけでなく必要経費を差し引いた所得を確認します。

源泉徴収された報酬があれば、その税額も確定申告で正しく反映させます。

また、雑所得の赤字はほかの所得と損益通算できず、青色申告もすべての副業で利用できる制度ではありません。

忙しい会社員が最初から税法をすべて覚える必要はありません。

「給与か業務委託かを確認する→収入と経費を記録する→所得区分を確認する→申告要否を判断する→対象年分の国税庁・自治体情報を確認する」

この順番を作ることのほうが重要です。

確定申告の時期だけ頑張るのではなく、日頃の記録を小さく続ける。

それが、本業を持つ人にとって最も遠回りの少ない確定申告対策だと私は考えています。


よくある質問

会社員の副業は20万円以下なら確定申告しなくていいですか?

一定の条件を満たす給与所得者では、給与所得・退職所得以外の所得金額が年間20万円以下なら所得税の確定申告を要しない場合があります。

ただし、給与収入2,000万円以下であることや、主な給与について源泉徴収・年末調整が行われていることなど前提があります。さらに、住民税は別途申告が必要になることがあるため、「20万円以下なら何もしなくてよい」とは限りません。

本業のほかにアルバイトと業務委託の副業があります。20万円は別々に判定しますか?

仕事ごとに単純に20万円ずつ使える制度ではありません。

年末調整されなかった給与と、給与・退職所得以外の所得がある場合は、それぞれの所得区分を整理したうえで、国税庁が定める給与所得者の確定申告の条件に当てはめて判断します。

「アルバイト15万円、業務委託15万円だから両方20万円以下」といった仕事単位の判定は避けてください。

動画編集の副業は雑所得と事業所得のどちらですか?

動画編集という職種だけでは決まりません。

国税庁は、事業所得か業務に係る雑所得かについて、社会通念上事業といえる程度の活動かどうかを基本に、帳簿書類の保存状況なども踏まえる考え方を示しています。300万円という金額だけで自動的に決まるものでもありません。

判断が難しい場合は、税務署や税理士などの専門家への確認を検討してください。

篠原 美和
会社員のための動画編集副業アドバイザー

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