会社員・正社員の副業の始め方|就業規則や注意点も解説

仕事終わりの自宅で、厚生労働省の副業パンフレットと就業規則を並べて確認する40代会社員 未分類

2025年3月31日に厚生労働省が改定した副業・兼業パンフレットは、会社員が副業を始める前に、就業規則・労働時間・申請手続き・税金を順に確認する重要性を示す資料です。

「副業解禁」という言葉だけが先行しがちですが、今回確認したいのは、勤務先のルールを飛ばして副業を始めてよいという話ではありません。

厚生労働省の資料は、企業と働く人が副業・兼業に取り組む際の考え方、モデル就業規則、届出様式例、労働時間管理の情報をまとめたものです。つまり会社員にとっては、案件探しの前に「自分の会社で何を確認し、どこまで説明できる状態にするか」を整理するための実務資料といえます。

2025年3月改定の副業パンフレットとは?会社員に関係するポイント

結論:2025年3月31日に改定されたのはパンフレットであり、会社の就業規則を上書きして副業を自由化する制度改正ではありません。

厚生労働省は、2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、2020年9月、2022年7月に改定してきました。そのうえで、2025年3月31日付の改定版パンフレットを公表しています。

厚生労働省の「副業・兼業」特設ページでは、このパンフレットを、ガイドラインの解説、副業・兼業に関するモデル就業規則の規定、各種様式例をまとめた資料として案内しています。

特に注目したいのは、会社員が副業を始めるときに実務で必要になりやすい、次の情報が一か所に整理されている点です。

  • 副業・兼業を行う際の労働者と企業それぞれの留意点
  • モデル就業規則における副業・兼業の考え方
  • 副業・兼業に関する届出様式例
  • 労働時間の通算に関する解説資料
  • 労使双方の手続き負担を軽減する「管理モデル」の資料
  • 副業・兼業に関する合意書の様式例

厚生労働省は、モデル就業規則について、以前あった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業に関する規定を新設した経緯も示しています。

ただし、これは全国すべての会社に同じ規則を強制するものではありません。実際の職場では、副業を認める場合でも、許可制、届出制、競業を伴う仕事の制限、稼働時間の申告など、独自の運用が置かれていることがあります。

この点は、とても大切です。副業を促す国の流れと、自社で副業ができるかどうかは、似ているようで別の問いだからです。

会社員がまず見るべきなのは、世間で人気の副業ランキングではなく、勤務先の就業規則、雇用契約書、副業規程、社内イントラネットの案内です。

参照資料:厚生労働省「副業・兼業」(2025年3月31日改定版パンフレット案内)、同「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2022年7月8日改定版)


正社員で副業をする人は増えている?総務省調査の数値から読む

結論:副業は珍しい働き方ではなくなりつつありますが、正社員では2022年時点で副業者比率2.5%であり、誰もが同じ形で始めているわけではありません。

総務省統計局の「令和4年就業構造基本調査」によると、2022年の非農林業従事者のうち、副業がある人は305万人でした。2017年の245万1,000人から、5年間で59万8,000人、約60万人増えています。

非農林業従事者に占める副業者比率は4.8%で、2017年の3.9%から0.9ポイント上昇しました。

雇用形態別に見ると、正規の職員・従業員の副業者比率は2.5%で、2017年から0.6ポイント上昇しています。非正規の職員・従業員は7.2%で、2017年から1.3ポイント上昇しました。

区分2017年2022年変化
副業がある人(非農林業従事者)245万1,000人304万9,000人59万8,000人増
副業者比率(非農林業従事者)3.9%4.8%0.9ポイント上昇
正規の職員・従業員の副業者比率1.9%2.5%0.6ポイント上昇
非正規の職員・従業員の副業者比率5.9%7.2%1.3ポイント上昇

この数字から読み取れるのは、「副業をする人が増えた」という事実だけではありません。

正社員に限れば、副業をしている人はまだ少数です。だからこそ、同僚やSNS上の発信を見て「皆がやっているから自分も急がなければ」と考える必要はありません。

個人的には、この2.5%という数値は、40代の会社員にとってむしろ冷静になる材料だと考えます。本業、家族、健康、勤務先の制約がある中で副業を続けるには、仕事を増やす前に条件を整理する必要があるからです。

副業の選択肢が広がったことと、無理なく回せる働き方を見つけたことは同じではありません。副業をしている人の数よりも、自分の生活の中で継続できる設計を優先した方が、結果として遠回りを減らせます。

参照資料:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の要約及び概要」(2022年)


会社員の副業は何から始める?就業規則を確認する手順

結論:副業を始める第一歩は、案件への応募ではなく、就業規則で「禁止・許可制・届出制・条件付き容認」のどれに当たるかを確認することです。

就業規則や副業規程を読むときは、「副業可」という一文だけで判断しないようにしてください。

確認したいのは、副業そのものの可否に加えて、どの仕事が対象になるのか、いつ申請が必要なのか、何を申告する必要があるのかです。

たとえば「勤務時間外なら可能」と書かれていても、競業、秘密保持、本業への支障、健康への影響、会社の信用を損なう行為などが条件として示されている場合があります。

会社員が最初に確認する項目は、次の順番にすると漏れを減らせます。

  • 副業は原則禁止か、許可制か、届出制か
  • 雇用契約の副業と、業務委託・個人事業の副業で扱いが異なるか
  • 申請先は直属上司、人事、コンプライアンス窓口のどこか
  • 副業先の名称、業務内容、開始日、予定時間の提出が必要か
  • 同業他社、取引先、顧客と関係する仕事に制限があるか
  • 社用パソコン、社用メール、社内データの利用に関する定めがあるか
  • 副業の内容や稼働時間に変更があったとき、再申請が必要か

許可制の会社で申請時に詰まりやすいのは、「仕事内容」と「予定稼働時間」を曖昧にしたまま提出するケースです。

「動画編集をします」「Webの仕事をします」だけでは、競業や本業への影響を会社側が判断しにくくなります。依頼元、業務の範囲、契約形態、平日と休日の稼働見込み、本業の勤務時間中には行わないことを、事実に沿って整理しておく方が話が早く進みます。

これは申請を通すための言い回しを工夫する話ではありません。会社と本人の双方が、何を確認すべきかを共有するための準備です。

厚生労働省が届出様式例や合意書様式例を示していることにも、同じ意味があります。副業を「会社に言いにくい個人的な事情」として隠すのではなく、仕事内容、時間、情報管理の線引きを確認可能な形にすることが、後の行き違いを減らします。

※画像はAIによるイメージ

副業は会社にばれる?住民税より先に管理すべきこと

結論:副業を会社に知られる可能性は住民税だけではなく、申請漏れ、競業、情報管理、勤務時間中の対応、SNS発信など複数あります。隠す方法ではなく、説明できる運用を作ることが先です。

副業と会社の関係で、よく話題になるのが住民税です。副業による所得があれば、住民税額に影響する可能性があります。

確定申告の手続きでは、給与・公的年金等以外の所得に対する住民税の徴収方法について選択欄が設けられる場合があります。しかし、所得の種類や自治体の取扱いにより事情は異なります。

そのため、「普通徴収を選べば会社に知られない」とは言えません。住民税だけを見て副業の可否を判断するのは危うい考え方です。

会社に副業が伝わる経路としては、次のようなものも考えられます。

  • 必要な許可や届出をせずに始めてしまう
  • 勤務先の競合、取引先、顧客と関係する仕事を受ける
  • 本業の勤務時間中に副業の連絡や作業をする
  • 社用端末、社用メール、社内クラウドを使う
  • 社内で知った未公表情報や資料を副業に転用する
  • SNSの投稿内容、写真、時刻、場所から勤務先や本人が推測される
  • 睡眠不足や遅刻、業務パフォーマンスの低下が本業に表れる

特に情報管理は、会社員の副業で後回しにしない方がよい部分です。

副業には私物のパソコン、私用のメールアドレス、私用のストレージを使い、本業と副業の作業環境を分けます。仕事用のアカウントを一つに集約すると便利に見えても、ファイルの誤送信やデータの混在が起きやすくなります。

私が重要だと考えるのは、会社に説明するためだけではなく、自分自身が「どの情報をどこで扱っているか」を迷わない状態にすることです。

忙しいときほど、判断回数を減らす仕組みが効きます。本業と副業の端末、メール、保存先、作業時間を最初から分けることは、小さなルールですが、繁忙期に事故を起こしにくくする土台になります。

住民税の申告や徴収方法については、居住地の市区町村の最新案内を確認してください。個別の所得状況によって扱いが変わるため、不明点がある場合は自治体または税理士に相談するのが適切です。


副業の税金は20万円以下なら不要?給与副業と業務委託の違い

結論:20万円は売上ではなく「給与所得・退職所得以外の所得」の基準であり、副業先から給与を受ける場合は別の判定が必要です。

「副業は年間20万円以下なら確定申告がいらない」という説明は、条件を省きすぎています。

国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」によると、給与を1か所から受け、その給与が年末調整の対象で、給与収入が2,000万円以下であるなどの条件を満たす人は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下なら、原則として所得税の確定申告を要しない場合があります。

ここでいう20万円は、一般に報酬の受取総額、つまり売上そのものではありません。副業の収入から必要経費を差し引いた後の所得を考えます。

動画編集であれば、案件に必要な素材費、業務用のソフトウェア利用料、取引先との打ち合わせに必要な交通費などが、状況に応じて検討対象になります。ただし、通信費や自宅の費用のように私用と共通する支出は、副業に使った部分を合理的に区分する必要があります。

一方で、別の会社でアルバイトをするなど、副業先から給与を受ける場合は注意が必要です。

給与を2か所以上から受ける人については、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額などを基準に、申告の要否を判定します。副業が業務委託なのか給与なのかで、20万円の見方が変わるため、「副業なら一律20万円」と覚えないことが大切です。

また、医療費控除などを受けるために確定申告をする場合、20万円以下で申告不要とされる所得も併せて申告する必要があります。

税務の判断は、契約形態、収入の種類、経費、控除、他の所得によって変わります。少額でも、次の記録は残しておくと後から判断しやすくなります。

  • 報酬額、入金日、支払元
  • 契約書、発注書、請求書、納品記録
  • 支出の金額、領収書、利用目的
  • 副業に使った時間と作業内容
  • 給与として受け取ったのか、業務委託報酬なのかが分かる書類

記録は税金のためだけではありません。案件ごとに何時間かかったかを見直せば、報酬だけでは見えない負担を把握できます。

私は、会社員の副業では、最初の数か月を「売上を最大化する期間」よりも「仕事の実態を記録する期間」と捉えるのが現実的だと考えます。作業時間、修正回数、連絡頻度、疲れ方が分かると、次の案件を受けるかどうかを感覚だけで決めずに済むからです。

参照資料:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(令和7年4月1日現在法令等)、国税庁「給与所得者と税」、国税庁「副業に係る雑所得の金額の計算表」

※画像はAIによるイメージ

業務委託の副業で契約書は何を見る?会社員が見落としやすい条項

結論:業務委託の副業は、報酬額より先に、納期・修正・連絡時間・追加作業・契約解除の条件を確認します。

動画編集、ライティング、デザイン、オンライン秘書などの業務委託では、作業時間を自分で調整しやすい案件があります。

しかし、時間の自由度が高いことと、負担が軽いことは別です。成果物の定義が曖昧だったり、修正回数に上限がなかったり、夜間や休日の即時返信が当然のように求められたりすると、本業と両立しにくくなります。

会社員が契約書や募集要項で確認したい条項は、次のとおりです。

  • 何を納品すれば完了なのか
  • 納期はいつか。素材提供や確認待ちの時間は含まれるか
  • 修正は何回までか。追加修正は有償か
  • 報酬額、支払日、振込手数料、プラットフォーム手数料はどうなるか
  • 連絡可能な時間帯や、返信期限は定められているか
  • 著作権や成果物の利用条件はどうなっているか
  • 守秘義務の対象に何が含まれるか
  • 契約の途中終了、納期変更、キャンセル時の取り扱いはどうなっているか

許可制の企業で副業申請をする場合にも、こうした契約条件を確認しておく意味があります。

たとえば「休日に月10時間ほど」と申請しても、実際には平日夜の即時対応が必要な案件なら、本業への影響を正確に説明できません。仕事内容よりも、連絡と修正の条件によって生活が圧迫されることは珍しくないからです。

副業選びで独自に重視したいのは、予定時間ではなく「予備時間」です。

週に5時間作業できる人が、5時間で終わる前提の案件を受けると、修正や体調不良が起きた瞬間に余白がなくなります。最初は、見積もった時間のすべてを埋めない案件、納期に数日の余裕がある案件、作業範囲が明確な案件から始める方が、自分の実力と生活の両方を測りやすいでしょう。


2025年改定をどう生かす?会社員の副業は「説明できる設計」が土台

結論:副業で大切なのは、収入だけでなく、就業規則、情報管理、時間、契約、税務を自分の言葉で説明できる運用を作ることです。

2025年3月の厚生労働省パンフレット改定が会社員に示しているのは、副業が単なる個人の稼ぎ方ではなく、企業との関係、労働時間、健康、契約、情報管理を含む働き方の問題だということです。

副業を認める社会的な流れはあります。しかし、会社ごとの就業規則や業務内容の違いまで消えるわけではありません。

本業の繁忙期に何時間使えるか、家族との予定が重なった週に納期を守れるか、私物の端末とアカウントで完結できるか、受ける仕事を勤務先に説明できるか。この四つに曖昧さがあるなら、案件数を増やす前に設計を見直す余地があります。

筆者としては、40代の会社員の副業は、将来の選択肢を増やすための小さな検証として始めるのがよいと考えます。

平常時に週10時間できるかではなく、残業や家庭の予定が重なった週にも無理なく守れる量を基準にする。その差が、短期間の勢いと、長く続けられる副業の分かれ目になります。

副業の情報は増えましたが、焦りを煽る情報ほど、就業規則や契約条件、税務記録という地味な準備を省きがちです。

けれど、生活を守りながら副業を続ける人に必要なのは、派手な近道ではありません。始める前に確認し、始めた後に記録し、負担が増えたら減らせる仕組みです。それがあれば、副業を続けるか、内容を変えるか、一度止めるかも、自分で冷静に選びやすくなります。


まとめ

2025年3月31日改定の厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレットは、副業を始める会社員が、就業規則、届出、労働時間、契約、情報管理を確認するための実務的な資料です。

総務省の2022年調査では、副業がある人は305万人、正規の職員・従業員の副業者比率は2.5%でした。副業をする人は増えていますが、会社員が急いで同じ働き方を選ぶ必要はありません。

まずは自社の就業規則を確認し、仕事内容・稼働時間・契約条件を説明できる形に整え、税金の記録を始めましょう。収入を急ぐより、生活と本業を崩さず続けられる量を知ることが、現実的な第一歩になります。


よくある質問

2025年3月の厚生労働省パンフレット改定で、副業は自由になりましたか?

いいえ。パンフレットの改定は、ガイドラインの解説、モデル就業規則、様式例などを整理したものです。勤務先の就業規則や許可・届出の運用は会社ごとに異なるため、必ず自社の規程を確認してください。

正社員の副業者比率はどのくらいですか?

総務省統計局の「令和4年就業構造基本調査」では、2022年の正規の職員・従業員の副業者比率は2.5%です。2017年の1.9%から0.6ポイント上昇しています。

副業の収入が20万円以下なら確定申告は不要ですか?

給与を1か所から受け、年末調整の対象であるなど一定の条件下では、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告を要しない場合があります。ただし、業務委託報酬と給与副業では判定が異なり、住民税の申告が必要になる場合もあるため、国税庁と居住地の自治体の最新案内を確認してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました